観光地について思うこと
ここ数年、いわゆる観光地を訪れる機会がめっきり減りました。理由は簡単です。車で行ける範囲の観光地は、ほぼすべて巡り終えたからです。わざわざ混雑した場所へ足を運ぶ魅力が、私の中に残っていません。
最近の私の楽しみは、旅先で見つけた精肉店や豆腐屋、酒屋などで地元の食材を買い込み、キャンプでじっくり味わうことです。好きなものを好きなだけ食べる、飲む。これ以上の喜びはありません。しかし、翌朝は大きな差が生まれます。最近のキャンプブームで、あちこちにキャンプ場が作られました。中には、土地が余っていたからという理由で造られた場所もあり、私も一度泊まったことがあります。朝、目を覚ますと、目の前には荒れた雑木林が広がっていました。その時の喪失感は、言葉にできません。
対照的に、素晴らしい景観の中で目覚めた時は、準備してきた甲斐があったと心から感じます。淹れたコーヒーも格別です。そんな時、観光地と呼ばれる場所が持つ、言葉では言い表せない価値に気づかされます。人が集まり、土産物屋や駐車場が増え、どこか安っぽい印象を受ける観光地ですが、そこにある本来の風景は、計り知れない価値を持っているのです。