最近 新聞の読者の声が気になります
政治から熊の出没までいろいろな読者の声があります
その中で最も気なるのは、中学生や高校生の声です
読んでいると本当に考えているなぁと思える意見が多く、私が学生の頃から比べるとレベルが高く、感心してしまいます
読者の声を読んでいて、ふと思い出し「日本一心を揺るがす新聞の社説」(みやざき中央新聞 編集長水谷もりひと)を読み返しました
何度読んでも感動して涙を流したことが幾度もありました
その中から「心残りはありませんか」というお話を紹介します
以前、NHKに「夜は胸きゅん」という番組があった
視聴者から寄せられた「ちょっといい話」をドラマ仕立てで紹介する15分間の小さな番組だ
その日のタイトルは「車内コンサート」だった
物語は、福岡から上京して一人暮らしをしている学生さんが目撃した、電車の中のエピソードだ
ある駅で、一目で結婚式の帰りと分かる礼服姿の老夫婦が乗車してきた
空いている席に座って、2人で「今日の〇〇ちゃんは可愛かったなぁ」と関西なまりで話していた
おじいさんには何か心残りがありそうな雰囲気が漂っていた
しばらくするとおじいさんはおもむろに立ち上がり、車内にいる乗客に向かってしゃべりだした
「皆さん、ちょっと話を聞いてくれませんか 今日は姪の結婚式でした
小さい頃はやんちゃな子でね、でも今日はほんまにきれいやった
実は私らには子供がおまへんのや だからなおさら可愛くてねぇ・・・」
「実は、その披露宴で、私、歌うことになっていたのに、挨拶やら祝辞が長くて、わたしの出番がカットされましてねぇ それで今日歌うはずだった歌をここで歌わせていただけないでしょうか」
乗客はシーンとしていた
「では、反対の声もないようなので・・・」と言った後、「瀬戸の花嫁」を歌いだした
みんなしらん顔していた
歌い終わるとおじいさんは、「ありがとうございました このご恩は一生忘れません」とお礼をいった それはもう満足そうな顔になっていた
ふとおじいさんは電車の外を見て叫んだ 「あれゃ、歌に酔っていて降りる駅を通り過ごしてしもうたわ」
その瞬間、乗客の一人が吹き出した 続いて乗客が一斉に声を出して笑い出した
「すんません 次の駅までもうちょっと時間があるので、もう1曲歌ってもいいですか?」
と言うと、車両の中は乗客の温かい拍手で沸いた
「国境の町」という歌だった みんなが手拍子を始めた 車内はおじいさんの歌声と手拍子が響き渡った
次の駅に着いた 老夫婦が乗客のみんなに頭を下げて降りようとすると、みんなが拍手をして老夫婦を送り出した ホームに立ったおじいさんは、奥さんに言った
「おい、皆さんのご多幸をお祈りして万歳三唱をするぞ」2人は動きだした車両に向かって万歳を三唱した
それから不思議なことが起きた、それまで帰宅を急ぐ見ず知らずの人たちを乗せた沈黙
の車両だったのに、まるでみんなが友だちのように、隣同士、さっきの老夫婦の話題で花が咲いたのだ
「それは、その日に歌わなかったら、取り返しのつかない歌だったのだろう」と学生さんは書いていた
皆さんにはないですか?たとえばどうしてもこれだけはやっておかないと取り返しつかなくなる、そんな心残りのことは

何度読んでも涙がとまりません
水谷もりひとさん 素晴らしい話をありがとうございます
