切り貼り

札幌ADCの審査会応募要項のデザインを担当したことがあります。
これを担当することは憧れというかステータス（？）でもありましたし、ごく一部の実績のある人が手掛けるものだと思っていたので自分には無縁の世界だと感じていたのだけど、いざ指名されたときは喜びよりも緊張感の方が強く、逃げ出したくなる気持ちでした。
「本当に自分で大丈夫なのか？」という不安が半分、「もしかして期待されている？」という期待感がもう半分でした。

当初は全く別のデザイン案を考えていたのだけど、完成したものが気に入らなかったため、急遽別のアイデアで2案目を作ることにしました。全く別のテイストを目指してデザインを再考し始めたとき、子どもたちの工作用の糊や色画用紙が目に入り、これを使ってデザインすることを思いつきました。今まで試したことのない手法でしたし時間もなかったので、このアイデアでデザインしてみることは本当に一か八かでした。

作業は夜、家が静まり返った中で始めました。ハサミで色画用紙を切ったりちぎったりしてアルファベットを作り、少し下手くそに見えるように工夫しながら切ったり貼ったりしていきました。その作業はなかなか楽しかったです。
完成したアルファベットは、当時使っていたiPhone4Sで撮影し、アプリで加工してビジュアル部分はおおむね出来上がりです。

グラフィックデザインの仕事は、これが本当に正解なのか？と悩むことが多いのだけど、この応募要項がきっかけで出品数が減ることもなかったことに安心しましたし、そして何より、この年の審査会（2012年）のジェネラルグラフィック平面部門でこの応募要項が銅賞を受賞（初の受賞）したことは、かなりうれしい出来事でした。

色画用紙のシリーズは、これ以降やっていないのですが、久しぶりに切ったり貼ったりしてみたいなと最近思い始めています。

お仕事のご依頼、お待ちしています！

能登