秋と栗の香り

公園のナナカマドが赤く染まりはじめ、朝の息が白くなってきました。
つい先日まで暑さに辟易していたのが嘘のように、朝晩の空気がぐっと冷たくなりました。
もう少しゆっくりと秋を楽しませてくれたらいいのにと思いながら、厚手のカーディガンやコートまで準備します。

秋になると、毎年のように栗の渋皮煮を作ります。
鬼皮をむき、灰汁を抜き、ことことと煮る。
気の遠くなるような手間だけれど、その「ゆっくりさ」こそが、私にとって秋の贅沢だと思います。
途中で「もういいかな」と思ってしまうけれど、焦らずじっくり。

昨年は日々の慌ただしさに追われて作る機会を逃してしまったので、今年は早めに栗を見つけて購入しました。
煮えはじめた鍋からふわりと甘い香りが立ちのぼり、湯気の向こうで艶やかな栗の色が少しずつ深まっていくのを眺めていると、時間までゆっくりと煮詰まっていくような気がします。

翌日、出来上がった渋皮煮をひとつ口に入れると、ほろりと崩れるやさしい甘さ。
短い札幌の秋を、少しだけ長く味わえたような気がしました。

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